運転・操業管理支援

工場やプラントのDX推進を支援

電子操業日誌(PlantLogMeister)

PlantLogMeister

操業日誌の電子化から操業現場のDXをサポート

プラント操業においてベテラン運転員の知識や経験を共有し、ナレッジ情報として活用することは、安全・安定操業する上で極めて重要な課題です。PlantLogMeisterは、交替勤務における操業情報や申し送り情報を、効果的に蓄積・管理でき、製造現場にある様々な情報と連携できる業務革新ソリューションです。操業日誌の電子化をベースに、設備管理、工事管理などと連携しお客様の業務に合わせた最適なソリューションを提供します。PlantLogMeisterの導入で業務フローのシステム化や操業情報の一元化ができ、業務効率化やナレッジ情報の活用を実現します。

ノウハウの継承と職場コミュニケーションの活性化を実現

課題ベテラン運転員のノウハウを伝承したい

安全・安定・安心な操業が製造所の使命と責務

市場への製品供給責任を果たすために、化学プラントを安全安定して操業することが製造所の使命である。また、隣接する地域と共存できる安心な製造所であることも大きな責務となる。自動化の進んだ今日の化学プラントは、少人数の運転員によって運転されているため、精鋭された人財の関与が必須である。ひいては、運転員の存在が安全安定安心な操業の中核を担っている。従って、人から人への情報伝達は極めて重要であり、ベテラン運転員の熟練技能を若手に確実に伝承することが大切である。この伝承をいかに克服するかが非常に大きな課題となっている。

導入背景安全・安定・安心な操業を続けるためには

情報伝達や技能伝承の難しさ

「運転日誌の電子化は、製造現場のイノベーションにも匹敵すると考える。プラントは生物のように絶えず変化する。そんなプラント情報を誰もが簡単に的確に伝達することは、至難の業である。最新のITを活用することで、この困難をはじめて打開できるのではと期待した」と製造課長の石川氏は思いを語る。申し送り業務の電子化システム検討製造所の一角を占めるSi製造部では、制御室統合を実施すると共に、帳票類の集約などの基盤整備を着実に進めてきた。その中で、申し送り業務も見直しテーマの一つとなり、手書き運転日誌の電子化が検討の俎上に上がってきた。「運転日誌の電子化でわかりやすく的確に申し送りをすることにより、引き継ぎ漏れをなくし、設備トラブル、品質トラブルの防止を図る。また、班長日誌作成の効率化や蓄積した情報をナレッジ情報として活用することを目標とした」(石川氏)

Si製造部3課 課長 石川政利氏

Si製造部3課 課長
石川 政利 

選定理由運転員が主役のシステム

「主役は運転員」がPLMの基本コンセプト

「TMEIC殿には発売当初にもPLMを紹介いただいた。しかし、最初はまだまだこれから、との印象が強かった。その後バージョンアップを繰り返される中で、ここにきて快適な機能になって来たように思えた。現在では、次のような特長に大きな魅力を感じている」とシステム選定に参画した西村氏は4点を挙げる。
(グループ内の情報担当会社(株)トクヤマ情報サービスに所属)

(株)トクヤマ情報サービス グループリーダー 西村昌浩氏

(株)トクヤマ情報サービス
グループリーダー
西村 昌浩 

(1)「主役は運転員」の基本コンセプト

対極のコンセプトとして「管理者のためのシステム」があると考える。これは指示命令系統に従う業務フローには適した方式だろう。しかし、個人スキルの高い日本国内のモノ作り企業においては、指示命令の管理よりも、運転員の裁量による製造こそが競争力の源泉と考える。であれば、運転員を主役とする仕組の方が妥当性があるように思う。PLMの基本コンセプトは、こんな希望にぴったり合致していた。勿論、指示命令の管理機能もPLMには含まれている。そこは、主従をどう位置付けているかといった、システムの基本的コンセプトが核心だろう。

(2) 面倒な入力への多面的な配慮

これも(1)項の基本コンセプト反映の一つだろう。入力の労を取るのは運転員自身である。それが面倒ならデータ蓄積はままならなくなる。データ蓄積の宝箱であるべきシステムが空箱に終ってしまう。一度入力した過去データの再利用等、非常に強力な入力支援機能がPLMには搭載されている。

(3) システムの改良スピード

万人の満足するような快適な入力支援機能を最初から全て想定することはとても無理な話である。入力支援は利用実態を踏まえながら、都度改良していくべき機能だと考える。PLMはその改良に対するスピードが非常に速くなっている。メーカーとしての品質管理上の理由からだと想像するが、パッケージ機能向上の遅い商品が世の中には多々ある。入力支援機能について改良に時間が掛っていては、運転員のストレスが溜まるだけである。改良スピードの速さを予め念頭に置いてパッケージ化されているからこそ、PLMは今後もきっと使い易いシステムへと進化を続けていくだろうと大きな期待を寄せている。

(4) クラウドによるインタラクティブなシステム設定支援環境

これも(3)項の改良スピードを念頭に置いた発想と映った。導入準備として実施するシステム設定を、メーカーの用意するクラウドサーバー上で行うことから、設定状況がメーカーの目にも同時に触れる。ついては、ユーザーは何がしたいのか、何で困っているか、どんな不便が発生しているか、といったことに対して、メーカーらのアドバイスや問い合わせをタイムリーに届けてもらうことが可能となっている。このようなクラウドサイトが準備されていることで手戻り工数を抑える意義は絶大だと感じた。

以上のような諸々の特長に魅力を感じたことが、製造各部署との導入協議においてPLMの推薦へとつながった。

システム設定におけるポイント

PLMはパッケージ商品であり、様々なパラメータを設定することで、各職場にあった使い方が初めて可能となる。その設定において、最大の役割を担うのはお客様のキーマンである。勿論、キーマンだけで全てが可能な訳ではなく、弊社の導入支援と合わせた共同作業として設定を進めていく。

簡単入力が設定の最優先事項

「運転員にストレスなく使ってもらうために、入力をいかに簡単にできるかを最優先として、次のような最大限の工夫を凝らしていった」とPLM導入リーダーの製造スタッフ主任岡本氏は苦労を振り返る。
(1) 先頭文字を入力するだけで定型文を読み込む。
(2) 定型様式を用意して、必要数値のみの穴埋め入力とする。
(3) 予め機器登録することで簡便に機器番号を呼び出して、入力利用する。
また、当職場では柔軟な班編成を行っている。そのために、日誌記載担当者は逐次入れ替わる。班マスタからの自動取り込み機能を使うことで、入力者特定の負担軽減を図っている。

他システムとのデータ連携

他システムによるデータを改めて再入力するのは煩わしい。例えば、Excelシートにまとめた運転データをPLMに取り込み、データを一元的に管理している。

クラウドによるシステム設定支援サービス

「以上の設定作業もクラウドサーバーで実施した。設定上の確認事項や不明点の問合せは普通面側になる。しかし、今回は、同じ画面を見ながらサポートを受けることができ、効率的な共同作業を身を持って実感した」(岡本氏)

Si製造部3課 主任 岡本 一宏氏

Si製造部3課 主任
岡本 一宏 

導入効果運転員の意識変化とコミュニケーション活性化

PLMは運転員が主役、のシステムである。ついては、効果の程度は実際に利用する運転員の利用実態に大きく左右される。
Si製造部におけるPLM導入効果について、製造現場の皆様がどのように評価されているのかを伺ってみた。引継形態の変貌により、従来の手書き紙面のノート運用と比べて、全員でスクリーン画面を見ながらの情報共有となり、その場での質疑に対しても情報確認を迅速に行えるようになった。情報の単なる電子化に留まらず、引継形態の様変りにまで波及した点は画期的である。

交替引き継ぎ時ミーティングの様子

交替引き継ぎ時ミーティングの様子

アンケートによる確認

PLM導入丸1年の経過後に、使用者と管理者の双方に対するアンケートを実施した。(岡本氏)

必要性と満足度

PLM導入前、運転日誌の電子化の必要性を確認した所、70%の人が現状の方法からの改善を感じていた。実際導入した結果については、ほとんどの人が導入して良かったと感じている。また、業務効率が良くなったと感じている人が90%にも達している。

アンケートによる確認

運転員の意識変化

日誌に入力している内容が手書きの時より詳しく記入していると回答した人が半数以上いる。これは、記録に残して活用する意識に変わってきていると言える。

電子化情報の活用

電子化として何が良かったかの問いに対し、圧倒的に多かったのが「検索が簡単にできる」、その他に「申し送りが分かり易くなった、転記がなくなった、技術継承に活用できるようになった」などが挙げられている。

今後への期待

今回は、申し送りのノート、班長日誌の電子化を行ったが、製造部には運転指示書、連絡書などの発行文書、点検チェックシートなどの電子化が残っている。また、プラント現場情報についてもモバイル端末などを活用した電子化に取り組みたい。

運転員の声

システムを常時利用される交替勤務者を代表してご意見をお伺いした。

運転班長 岡村氏

「これまでの手書きによる運転日誌が電子化されたことで、班長日誌への書き写し作業が削減され、後勤への申し送り内容に抜けがなく、時間内に十分な引き継ぎを行うことが可能となった。また、ミーティングの時には電子情報をスクリーンに投映することで、聞くだけではなく目で見て理解を深めることができ、情報の共有化に大きく役立っている」

電子操業日誌は、引き継ぎを行う交替人員だけを対象としたシステムではない。製造に関わるスタッフの方々の様々な活用方法にも期待があるとのことから製造スタッフを代表してご意見をお伺いした。

Si製造部3課1係 班長 岡村茂基氏

Si製造部3課1係 班長
岡村 茂基 

製造スタッフ主任 東中氏

「PLM導入以降は、事務所にいながらにして運転状況の最新情報をすぐに閲覧できるようになり、大変便利になった。また、PLMの情報から必然的にノウハウの蓄積ができ、効率よく技術の伝承が行えるようにもなった。その結果、安全安定運転、現場力の強化につながっている」

Si製造部3課 主任 東中勝浩氏

Si製造部3課 主任
東中 勝浩 

管理者の声

最後に、導入に際して大きな期待を寄せられた製造課長の石川氏(前出)に満足感についてお尋ねした。

製造課長 石川氏(前出)

「導入当初に思い描いていた効果は達成できたと考えている。加えて、活用が進むに連れコミュニケーションツールとしての思いがけない副次効用ともなっている。多彩な情報入力があってこその電子化の価値である。そこで、入力促進を意図として件数や秀逸な記述は、上司評価として表彰した。また、自分の報告情報が職場にリアルタイムに反映されることは誇らしいことであり、相乗効果として職場の活性化に一役買う効用も生んでいる」
(本記事内における所属や役職は全て2015年6月取材時点のものです。)

今後の製造所展開

製造所内に導入部署のできたことは、今後の展開に向けた取組を進める上で、好都合な側面がある。製造所内の他部署からの見学も随時可能で、システムの長短について忌憚のない意見交換ができる。同じシステムを製造所全体で統一利用すれば、横断的な情報活用も図れる環境ともなる。横断利用の利点を生かすべく、他部署への導入推進を今後予定している。

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