力学的に電気を蓄える
重力蓄電システム

2050年カーボンニュートラルの実現に
向けて、電力の脱炭素化が進められて
おり、
太陽光発電・風力発電などを
中心とした再生可能エネルギーの導入が
拡大しています。

これらの再生可能エネルギーは、
自然条件によって発電量が変動する
ことから、
安定した電力供給のために
様々な方式による蓄電システムの導入が
進んでいます。
その中で、長時間にわたって
エネルギーを貯蔵する「LDES
(長期エネルギー貯蔵技術)※1」の
ひとつとして、
重力蓄電が
注目されています。

重力蓄電は揚水式水力発電と同様に
電気エネルギーを位置エネルギーに
変換し蓄える蓄電技術です。
TMEICは回転機やその制御技術、
電力変換技術を有しており、
より高効率な重力蓄電システムの構築を
目指し、実証試験に向け検討を
進めています。
※1 LDES:Long Duration Energy Storage

システム概要を動画でご紹介します 重力蓄電システム
重力蓄電システム
- 地形を活かした国産技術による蓄エネルギーシステム -

注目される重力蓄電技術

再エネ電力の安定供給

太陽光や風力を利用した再生可能
エネルギー(以下、再エネ)は
自然現象を利用して発電するため、
天気に左右され発電量が不安定です。
また、太陽光発電は日中に多く発電
しますが、導入量増加により、
電力需要
に対し供給過多になる日も多く、発電を
抑制する出力制御が求められています。
このような出力が不安定な再エネの
課題を解決するのが電気を蓄えることが
できる蓄電システムです。
余った電力を蓄電システムに貯蔵し、
必要なときに放電することで、
安定した電力供給が可能となります。

今後、再生可能エネルギーの導入は
ますます増えていくことが予想されて
おり、
蓄電システムなどの電力安定化
技術の発達・普及が欠かせません。

再生可能エネルギーの1日の発電量の流れ 再生可能エネルギーの1日の発電量の流れ
出典:資源エネルギー庁『日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」7.再エネ』

リチウムイオン二次電池
の現状

現在の大型蓄電池の主流は、
ノートパソコンやスマートフォンでも
採用されている
リチウムイオン(Li-ion)二次電池です。
リチウムイオン二次電池は短時間で
効率よく充放電を行うことが
可能で、
電気自動車などの蓄電池と
しても用いられています。
一方で、材料の多くを輸入に頼って
おり、安定した供給が難しくなる
場合があります。

またリチウムイオン二次電池は、
自然放電や蓄電能力の経年劣化があり、
長期の電力貯蔵には向きません。
そこで、電池性能の劣化が少なく
長期間稼働が可能な蓄電方法が
求められています。

注目される重力蓄電

「LDES」の一つとして欧州などで
注目されているのが重力蓄電です。
重力蓄電は位置エネルギーを利用した
蓄電方法で、電気エネルギーを
位置エネルギーに変換し、
それを再び
電気エネルギーとして取り出します。

類似した技術に揚水式水力発電が
あります。
揚水式水力発電では発電所の
上部と下部に大きな貯水池を
設置します。
電力が余っているときにポンプを使い、
下の池から上の池に水を汲み上げて
貯め、
電力が不足しているときに
上の池から下の池に水を流し、
水車を回して発電します。

揚水式水力発電の例 揚水式水力発電の例

重力蓄電は大型の回転機や重量物搬送
装置などの機器で構成されており、
設備のメンテナンスを行うことで長期に
利用できます。
また、重量物の量を
増やすことで蓄電容量の増加も
可能です。
稼働時は再エネの余剰電力を
活用する為、カーボンニュートラルや
SDGsにも貢献できる技術です。

システム概要図 システム概要図