操業管理のスマート化
減少する労働人口、
熟練技術者の大量退職
高度な技術力と、きめ細かい手順により作られた高品質の日本の工業製品は、世界から高い評価を受けています。
自動車、精密機器、石油化学、鉄鋼など、様々な分野の多くの工場では、製造装置やプラントが自動的に稼働し、
昼夜を問わず次々と製品を製造してきました。
しかし、これまで発展を続けてきた日本の製造業は、近年様々な危機に直面しています。
製造装置やプラントのオートメーション化も進み、自動的に製造が行われることも増えておりますが、
安定した操業には経験が必要になります。
今後、少子高齢化による労働人口の減少に伴い、熟練した操業者の確保は困難になることが予想されています。
また、2007年頃以降、熟練技術者として製造現場を支えていた団塊世代の大量退職も始まり、
今まで培われてきた技術が失われるという問題も出てきました。
従来、人が行なってきた作業を働き方改革の促進含めてより減らすと同時に、
若手の育成を行うことが急務となっています。
日本の労働力人口推移予測
(2018-2030)
また、世界では製造業のデジタルイノベーションが起こり、
デジタル技術を使った新しいソリューションが製造現場に次々と導入されています。
それにより、従来よりも開発、製造サイクルが加速され、製造効率も飛躍的に上がってきました。
しかし、日本の製造業は、個々の人員の力を合わせることで製造力を高めている部分も多く、
デジタル技術の導入に対する障壁が多いという現状があります。
製造業におけるデジタル変革が、今求められています。
遅れる知識データのIT化。
求められる効率的な
プラント操業
石油化学、電力といったプラントや自動車等のファクトリの操業においては、装置のプロセスデータをはじめ、
生産量、装置の稼働状況、エラーの発生件数、メンテナンススケジュールなど
多種多様な情報が存在しています。
安全・安定操業を行うために、それらは確認、記録が行われ、相互にやりとりされています。
そのなかで、装置の運転調整を行う流量、温度、圧力、電力といったプロセスデータについては、早くからDCS(distributed control system)、
PLC(programmable logic controller)といった自動化技術により自動的に調整、記録が行われてきました。
ところが、日々の運転状況や、作業指示書、次のシフトへの申し送り事項、異常報告書など、
プラント操業におけるデータが記録された操業日誌においては、
今も人の手を介して作成、記録されていることが多いのが実状です。
操業部門の現状
これらは、紙による台帳や、検索性のないただの文書データとして
パソコンに保存されていて、活用が難しいデータとなっています。
そのため、過去のミスが埋もれてしまい、そのミスを知る者がいなくなると、また同じミスを
繰り返すという問題が発生していました。団塊世代の熟練技術者の大量退職が進む現在、
その知識や経験が失われてしまうという事態が現実に起きています。
また、プロセスデータと操業記録情報の連携が十分に行われていないため、
データを目視で確認して紙に転記したり、
パソコンへ手入力したりすることも多く、作業が煩雑となり、記入ミスが発生することもありました。
交代制で作業が行われている24時間操業のプラントにおいては、
引き継ぎの際の資料作成に多くの時間を費やしており、
伝え間違いや言い忘れ、聞き漏らしなどが発生することも多く、安全・安定操業の妨げとなっていました。
日々作成されている操業日誌には、貴重なデータが多く記載されています。
しかし、操業日誌を電子化しただけでは、十分にデータ資産を活用できているとはいえません。
プロセス制御データとの連携がスムーズに行われ、
ミスなく簡単にデータを収集し、過去のデータの活用が容易になる
効率的な操業記録システムの導入が今求められています。