大容量蓄電システム

TMEICの大容量蓄電システム

大容量蓄電システムを活用するために、
2つの主軸製品を用意しています。

1つめは、大容量リチウムイオン二次電池の充放電を
安全かつ最適に実施する TMBCS(TMEIC Battery Control System)。
もう1つは、複数のTMBCSや太陽光発電システムを組み合わせることで、
発電所全体の発電量や充放電量を最適に制御する
MSC(Main Site Controller)です。

以下に、これら2つの主軸製品の役割・特長を紹介します。

TMBCS

TMBCSとは、リチウムイオン二次電池を用いた大容量蓄電システムのことであり、
2010年から各種ソリューションを想定して
最適な電池容量、効率面、安全性、電池寿命、安定稼働を考慮して開発を行い、
2013年2月に発売した歴史あるシステムです。

TMBCSは、後述のMSC(Main Site Controller)のように、
EMS(Energy Management System)と呼ばれる上位システムから充放電指令を受け、
実際の蓄電池の充放電を行うシステムです。

TMBCSはバッテリー毎に最適な充放電を安全に実施します。
また、最適なバッテリーを組み合わせて利用することで、運転の長時間化だけではなく、
バッテリーの長寿命化を実現しています。
また、将来的な拡張性や容易なメンテナンス性を担保しているシステムとなります。

TMBCSの構成要素 TMBCSの構成要素

ねばり強いシステムであること

TMBCSはシステムの一部に問題が生じても全体が機能停止するということなく(たとえ機能を縮小しても)
動作し続けることが可能なシステム設計思想であるフォールトトレラント設計を採用しています。

もし、1台のTMBCS内で蓄電池盤1面に異常が生じても、
該当の蓄電池盤のみを解列させ、残る蓄電池盤で運転を継続します。
また、TMBCS1台に1つ配置されるFBCSを制御LANで結び、
マスターのFBCSがその他全てのFBCSと連携することで、
複数のTMBCSの内1台が故障しても、残る全てのTMBCSの電池充電状態等を把握しながら、
充放電の負荷分担を自動演算し、1つの大容量蓄電システムの形態を維持して、安定稼働を継続します。

より簡単、安全に大容量化を実現すること

蓄電システムへの要求仕様は、出力電力(kW)と蓄電容量(kWh)のように表されます。
1台のTMBCSの出力電力(kW)はPCSの出力仕様にて、
蓄電池容量は1台のPCSに接続できる蓄電池の直列数と並列数から決まります。

FBCSはTMBCS毎に1台配置されますが、大容量システムでは、複数のTMBCSが接続されます。
その場合、1台のFBCSがマスターとなり、他のTMBCSに配置されるFBCSと制御LAN接続することで、
TMBCS群として一元管理し、仮想的に一つの巨大な蓄電池とみなして充放電させることが出来ます。

EMSやMSC等の上位システムは、1つの充放電指令をTMBCS群に送信するだけで、
より簡単に大容量の蓄電システムを構成できます。

また、TMBCS群の中の一つのFBCSが自動的にマスターとなり、全てのFBCSから個々のTMBCSの情報を得て、
個々のTMBCSがそれぞれ充放電すべきか自動演算により調整し各TMBCSに指示します。

さらに、万一の場合に、蓄電池(電池盤、収納モジュール、モジュール内のセルに至る情報を監視)に
異常事態が発生する兆候を感知した場合には、当該蓄電池盤を充放電させないなど事故を未然に防止し、
その時点で充放電可能な容量を把握し、大容量蓄電システムを維持します。

これらの機能を実現することで、事故リスク低減だけでなく、
蓄電池への負荷の低減を通じ、システム全体の長寿命化を可能としています。

多様なメーカの蓄電池を選べること

蓄電システムの主要構成要素である蓄電池。TMBCSは多様なメーカの蓄電池を選択し、使うことができます。

TMEICでは、TMBCSの実機にて試験・評価を行い、蓄電池特性を把握し、蓄電池を認定しています。
お客様は、その中からニーズに合う蓄電池をお選びいただくことができます。

これにより、最適なメーカの最適な蓄電池をご提案し、
設備運用期間、容量、コスト等の顧客ニーズに柔軟に応えることができます。

当社では、このように複数のメーカの電池を採用したTMBCSによる統合制御を、
マルチバッテリーコントロール(Multi Battery Control)と呼んでいます。

これらの特徴に加え、複数(大容量)のTMBCSにて、
一部蓄電池盤に異常が発生した時の充放電負荷分担運転する例を以下に示します。

一部電池が異常となった場合の蓄電池盤解列と充放電自動負荷分担例 一部電池が異常となった場合の蓄電池盤解列と充放電自動負荷分担例

容易にメンテナンスができること

各FBCSでは、監視画面にシステム機器の詳細な情報を表示・提供しています。
さらに、上位システムからの指令値、自動運転のための条件の成立状況(インターロック)、
各種データ等も表示し運転状態を確認できます。
また、手動モード時には、現場操作で全TMBCSの充放電や、メンテナンスのために
TMBCS単体の手動充放電を行うことも可能です。

標準メンテナンス画面 標準メンテナンス画面

MSC

お客様のエネルギー課題に応じ、TMBCSや太陽光発電システムなど発電全体を
より高度に統括制御するための製品がMSC(Main Site Controller)です。

エネルギー管理制御装置は一般にEMS(Energy Management System)と呼ばれておりますが、
MSCはこの1種となります。

太陽光発電所や風力発電所に対して各電力会社から提示されている系統連系要件(レギュレーション)に併せ、
太陽光や風力などの発電用PCSと蓄電システム(TMBCS)を統合制御し、
発電所全体での出力制御を行うことができます。

MSCは、系統連系点の電力情報をはじめ、
発電制御の質を向上させるための各種状態をフィードバックするとともに、
電力会社からの発電指令・発電状況を送受信するCDT (Cyclic Data Transfer)装置と接続することで、
リアルタイムに発電量を制御します。

太陽光発電所に併設する蓄電制御システムの構成例を以下に示します。

太陽光発電所のシステム構成例 太陽光発電所のシステム構成例

MSCによる発電所の一括制御は、従来の急峻に変動する再生可能エネルギーの
安定出力に大きく貢献し、系統電力の品質を保つ付加価値をもたらします。

初期投資の低減に貢献

TMBCSと当社PV-PCSおよびMSCを組み合わせた再生可能エネルギー発電所は、
より少ない蓄電池容量で、電力会社の系統連系要件に対応させつつ、発電所の売電出力の最大化に貢献します。
つまり、初期投資の低減につながるのです。