柔よく「鋼」を制する
プロジェクトマネジメント

TMEICだから実現できる納期・品質の提供

TMEICはこれまで多種多様な設備のプロジェクトに携わってきました。
その中でも新規建設プロジェクトと既存設備更新プロジェクト、さらに近年脱炭素の流れで注目される電気炉プロジェクトで、
TMEICのプロジェクトマネジメントがどのように活かされたか紹介します。

TMEICだから実現できる高品質

熱間圧延設備(※1)
新規建設プロジェクト

最初に、中南米の企業が現地に新しく建設した熱間圧延設備のプロジェクトを紹介します。
このケースでは現地の施工会社とやり取りをしながらのプロジェクトマネジメントになりました。

一般的に海外工事会社の場合、工事費の見積もり方法が日本と異なることがよくあります。
そのため、見積もり条件に齟齬が発生した場合、計画の変更が余儀なくされ、進行が遅れる要因となり得ます。

この点、TMEICは1970年代、会社がまだ東芝と三菱電機に分かれていた時代から
国内外で鋼材生産設備の建設プロジェクトの経験を積み重ね、今も多くの工事を行っており、
様々な海外プロジェクトでの知見を有しています。
TMEICはあるべき工程進行メソッドを有しており、実際の工事シミュレーションや見積もりチェックを進めています。
さらに、プロジェクトマネジメントによってその国・地域の文化・商習慣なども考慮、柔軟に運用することで、
問題を生じさせずにお客様の要求納期、計画にしたがってプロジェクトを推進することが可能となるのです。

また海外では、日本とは異なる環境であるが故に、日本では考えられないトラブルが発生するケースもあります。
実際にこの中南米プロジェクトでは、設計図等の提案資料に対するお客様の承認プロセスが長期化、
また時差によりリアルタイムでのやり取りができないなど、時間的課題がいくつも生じました。
TMEICはお客様の業務フローの実態も予測の内に入れ工程を検討、
お客様の相手一人一人を理解して顔の見える対応により課題を一緒に解きほぐしながらプロジェクトを進めました。
これはレベルの高いマネジメントがあってこそ実現したプロジェクトで
お客様にも大変ご満足いただく事ができました。

形鋼圧延設備(※2)
既存設備更新プロジェクト

次にプロジェクトマネジメントの力が大いに活かされた
大型形鋼圧延設備のコントローラ(PLC※3)を更新したケースを紹介します。
このケースでは、設備で圧延制御を担っていた複数台のコントローラを最新のコントローラに置き換えることになりました。

形鋼圧延設備の設備更新

設備更新作業においてポイントとなるのは、作業期間中、設備を全て止めることができず、
設備を稼働させながら更新作業を行う点です。
新設の場合には全ての設備の設置が完了してからの稼働となりますが、
更新作業の場合には既に設備が稼働しているため、新設時と同じように作業を行うことはできません。
使用中の駅やビルを少しずつ改修していくように、部分的に機能を停止させ、その部分の役割を他で代用したり、
改修を行っていく順番を考えるなど、細やかなマネジメントが必要になります。

そもそも形鋼は電子機器や家電製品とは異なり、
流行に左右されることなく非常に長い期間に渡り同じ製品が生産されていきます。
そのため、使われている生産設備も30年間といった長い期間にわたって使われ続け、
古い設備が今も現役で使われるケースは少なくありません。
古い設備では、機器やシステムの特性を熟知している担当者が既に社内にいないケースも多く、
お客さまの中でも更新するための知識やノウハウが失われていることもあります。
そのような場合でもTMEICは、長い歴史に裏付けられた豊富な経験・知識をもっているため、
お客様の元から失われた設備の特性、更新方法など必要なノウハウを補い、
品質に責任を持って対応することができます。

TMEICは 設備の要となるポイントや、品質維持に必要な勘所を推察することができます。
実際にこの案件では、見積もりの段階から、お客様が見落としていた要素を提案し、
設備更新後に必要となる調整対応も予測してスケジュールに盛り込んでプロジェクトを進めました。
TMEICのプロジェクトマネジメントは常にオーダーメイド。
お客様の要望に応じた古い設備の更新も信頼おける品質にて製品サービスの提供をすることができました。

脱炭素で注目を集める
電気炉プロジェクト

近年、カーボンニュートラルに向けた取り組みが様々な分野で実施されている中でも特に注目され、
鉄スクラップを溶解して鋼材の原料を作り出している電気炉。
TMEICのプロジェクトマネジメントは電気炉の分野でも活かされています。

TMEICは電気炉の国内導入当初から長きに渡り、炉用変圧器、炉用真空しゃ断器(炉用VCB)※4
電極昇降制御装置※5、 フリッカ抑制装置(SVCS)※6などの炉用電気品や、
各機器を組み合わせ、電気炉へ安定的に電力を供給する電源システムを提供しています。

TMEICの電気炉電源システムの特長は、TMEICの強みであるモータ&ドライブ装置をはじめ、
特高受変電設備、電力変換器などのパワーエレクトロニクス装置、
産業分野でも珍しい数十~数百MVAといった大容量の電気品を取り扱っている点です。
電気炉プロジェクトでは、大容量の電気品を扱う為、
新設や老朽化による更新時のお客様の初期投資が大きく、最初の計画が非常に重要なものとなります。
プロジェクトマネジメントにはコスト管理が問われる重要性も大きいのです。

また、電気炉は 、炉内で低電圧・大電流のアーク放電を行いますが、
その性質上、大規模かつ予測不能な電源の負荷変動が起こり、電気炉特有の電源品質課題が生じます。
多くの課題を初期計画段階から念頭に入れて複雑な電気品の仕様検討を進める必要があり、
その一つ一つの検討がコスト管理に影響するため、レベルの高いプロジェクトマネジメントが要求されるのです。

例えば、電気炉特有の電源課題を解決策の一例として、TMEICはフリッカ抑制装置(SVCS)更新を手掛けています。
SVCS更新で、最も重要な仕様検討は定格容量の選定です。
電気炉は、発生する電圧フリッカ発生量をシミュレーションし、
その発生量を規制レベル以下とするために必要なSVCS容量の算出をしなければなりません。
電気炉は予測不能な負荷変動がある他、炉の種類や操業方法などにより、
操業環境が目まぐるしく変動する為、予測精度を上げる事が非常に困難です。
TMEICは豊富な経験で培った技術を駆使し、最適なSVCSの容量選定を可能としました。
それによりお客様の初期投資コストの最適提案の提供が可能となります。

  • ※1 熱間圧延設備:材料の金属を再結晶点以上の高温に加熱してやわらかくし、加工しやすい状態で圧延する設備。加熱された鉄・ステンレス・アルミのスラブ(鋼片)を圧延機で圧延し、厚さ数mm~十数mmの熱延コイルに仕上げる。熱延コイルはそのまま出荷されたり、次工程へ送られ冷延・めっき鋼板や鋼管に加工され、自動車や鉄道車両、家庭電気製品などさまざまなところで使用される。
  • ※2 形鋼圧延設備:加熱炉から抽出されたビレット、ブルーム、スラブ等を所定の形鋼サイズに圧延し、曲がりを矯正、さらに一定長さに切り揃え、必要に応じてパイリング・結束を行い、出荷状態にするための一連の設備。生産された鋼材は、主に建築用材料(棒鋼、H形鋼等)やレールとして使用される。
  • ※3 PLC:Programmable Logic Controller。コントローラに接続された設備(=モータ&ドライブ装置)を制御し、全体監視にも情報を送受信する、生産現場の中枢ともいえる機器。
  • ※4 炉用真空しゃ断器(炉用VCB):異常や事故の回路電流をしゃ断して、回路や電気機器を保護する装置。
  • ※5 電極昇降制御装置:炉内に電極を昇降させてアーク長を制御し、投入電力を安定させる装置。
  • ※6 フリッカ抑制装置(SVCS):自励式無効電力補償装置。瞬時電圧変動を抑える電圧フリッカ抑制装置。