システム構築上の注意事項
■1.電源電圧の確保について
頻繁に停電や電圧低下があると、十分な充電ができず、停電の際にバックアップ時間が短くなったり、バッテリ故障となる恐れがあります。UPSの入力電源仕様にあった電源を確保願います。UPSはバックアップ可能時間(定格負荷、蓄電池初期満充電25℃において5分、6分または10分)と比べて充電時間が1昼夜と長くなります。
■2.メンテナンスバイパスについて
24時間連続運転など、停止することが出来ないような重要負荷に小形UPSをご使用になる際には、点検や修理などを行うために、UPSを完全に切り離すことができるメンテナンスバイパス回路を設けていただくことをお願いいたします。E3/E3プラス/C4タイプの入力電圧と出力電圧が異なるものは、メンテナンスバイパス回路に絶縁トランスを設けていただく必要があります。絶縁トランスの仕様につきましては、弊社技術窓口へお問い合わせください。
Little starは並列冗長運転ができません。万一UPSの故障が発生した場合処置を迅速に行うためにもUPSの運転状態を知らせる信号をシステムに取り込むことをご推奨いたします。
■3.特定負荷との組み合わせについて
最近、LBP(レーザ記録)方式プリンタが多くなっております。LBP方式プリンタは、トナー定着のためにヒーターを使用しています。このヒーターの温度を保つため、サーモスタットによるON/OFF制御されており、数分間隔でヒーター電流が流れます。このヒーター電流の初期値はプリンタ定格電流の 3〜7倍となっておりますので、UPS容量選定に当たっては、この値を見込むか、UPSに接続する負荷機器の対象から除外して下さい。
■4.(非常用)発電機との組み合わせについて
UPSは発電機から見た場合、アクティブな整流器負荷ですので、組み合わせたケースにより、発電機端子電圧に異常電圧が発生する恐れがあります。発電機は UPSの定格の3倍以上の単相発電機をご使用下さい。また、発電機の容量選定は発電機メーカーにご相談のうえ、事前に組み合わせ試験を実施してください。
■5.火災予防条令について
火災予防条令では同一防火区画に設置できる蓄電池の総量を規定しています。小形UPSは蓄電池を内蔵しておりますので、複数台のUPSを同一防火区画に設置しますと蓄電池の総量が4,800Ah・セル以上となる場合があります。複数のUPSを設置する際には合計のAh・セルをご確認の上、4,800Ah・セル以上の場合には所轄の消防署にご相談ください。(例:単相15kVAのUPSは2台併設した場台でも、4,800Ah・セルを越えませんので2台の設置が可能です。)
■6.電波障害について
クラスA情報技術装置で商業地域での電波障害防止を目的とした情報処理装置等電波障害自主規制協議会(VCCI)基準に適合した機種であっても、住宅地域で使用した場合にはラジオ、テレビジョン受信機に近接してご使用になると電波障害を与える可能性があります。
■7.回生負荷・モータ負荷について
UPSは回生電力のある負荷には使用できません。回生電力のある負荷機器の使用はさけて下さい。また、掃除機などのモータ負荷機器の使用はさけて下さい。
■8.騒音について
騒音は無響音室にてUPS装置の正面から1m離れた位置で測定した値(JEM 1464)です。設置場所の環境(反射音などの影響)により、騒音値がカタログ仕様値を超過する場合があります。
■9.保守スペースおよび換気スペースについて
カタログ記載のスペースは 空調と強制換気がなされた良好な環境に設置された場合の最小スペースを示しています。装置の移動や冷却などを考慮した前後左右のスペースについては取扱説明書を参照願います。
■10.設置環境について
UPS及び関連機器の設置環境は下表に示す基準を守ってください。 この基準を守らないと、装置の絶縁劣化などによる寿命低下・故障の原因となります。設置前に設置場所の環境測定と評価を実施され、万一、基準値を満足しない場合、UPS設置・運転前に必要な対策を実施される事を推奨します。
お願い |
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No. | 項 目 | 設置標準 | ||
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1 | 周囲温度 | 温度環境の最低及び最高は-5℃〜40℃とする。
24時間の平均値は5℃〜35℃の範囲とする。 |
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2 | 相対湿度 | 相対湿度90%以下
温度変化による結露があってはならない。 |
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3 | 高 度 | 高度は海抜1000m以下とする。 | ||
4 | 気 圧 | 気圧は860hPa〜1060hPaの範囲とする。 | ||
5 | 振 動
衝 撃 |
設置場所の振動数は10Hz以下、又は20Hz以上とする。
振動数10Hz以下の場合振動加速度は0.5G以下とする。 振動数20Hz超過50Hz以下の場合振動加速度は0.5G以下とする。 振動数50Hz超過100Hz以下の場合全振幅は0.1mm以下とする。 |
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6 | 設置室内の粉塵 | 設置室内の粉塵は大気粉塵程度とし、特に鉄粉、油脂、有機材のシリコン等を含んでいないこと。 | ||
7 |
腐食性因子 注)IEC-654-4(1987)クラス1を参考として規定。 |
平均値[PPM] | 最大値[PPM] | |
硫化水素 (H2S) | <0.003 | <0.01 | ||
亜硫酸ガス (SO2) | <0.01 | <0.03 | ||
塩素ガス (Cl2)
(相対湿度 > 50%) |
<0.0005 | <0.001 | ||
塩素ガス (Cl2)
(相対湿度 < 50%) |
<0.002 | <0.01 | ||
ふっ化水素 (HF) | <0.001 | <0.005 | ||
アンモニアガス (NH3) | <1 | <5 | ||
窒素酸化物 (NOX) | <0.05 | <0.1 | ||
オゾン (O3) | <0.002 | <0.005 |
■11.バッテリのバックアップ能力について
バッテリは時間の経過とともに劣化し、バックアップ能力が低下するので、バッテリの交換が遅れるとバッテリバックアップ運転時間が短くなり、停電時に接続機器へ電力を供給することができず、処理中のデータ破壊などのトラブルの原因となります。
寿命末期のバッテリ保持時間は、初期状態と比較して大幅に低下しますので早めの交換を推奨します。