紙は本来、文字の誕生とも深い関係にあり、人間がその進化の過程で、物事を記録するためにつくり出されました。しかし、PCやスマホの普及によって、記録が紙から電子記録に置き換わりつつあるいま、紙の役割は大きく変化しています。そして現代における紙の大きな役割のひとつが「エコ素材」です。
世界的にプラスチックゴミの問題が重要視されている今日、ビニール袋やストローなどプラスチック製品に置き換わろうとしてるのが「クラフト紙」です。クラフト紙は、原料のほぼ100%を古紙が占めるため、循環型社会の代表的な素材のひとつとなっています。
古紙を溶かして、新しい紙に生まれかわらせる。そんなクラフト紙製造工場にもTMEIC(ティーマイク)の製品、エンジニアリングが役立っているのです!
段ボールをはじめとした箱などの梱包材、雑誌や新聞、ポスターやチラシなど多種多様な古紙が原料となります。
原料の古紙を水と溶液で溶かし、ドロドロのおかゆ状にするとともに、紙をコーティングしていたビニール素材や、製本していた紐や金具類などの古紙に混ざっていた不純物を取り除きます。
パルパでは除去しきれなかった、さらに小さな不純物を取り除きます。円錐状の機械に勢いよく原料を注入し、遠心力で、小さな金属片やプラスチック、ビニール片や、製本などに使われていた糊類、印刷されたインク類などを除去します。
クリーナよりさらに細かい不純物を取り除く工程です。微細な穴やスリットに原料を通すことで、不純物を濾し取ります。
ほぼ紙繊維100%になったところで、原料を叩解(こうかい)します。叩解というのは、文字通り「たたき」「ほぐす」こと。紙の原料を叩いて解して、切りそろえることで、不揃いで状態もバラバラだった紙繊維が、ある程度まとまった毛羽立ちとなり、繊維どうしの絡み合いや結合が進み、紙に強度を与えます。原料調成で最も重要な工程です。
ドロドロの紙の原料を抄いていき、脱水、乾燥、巻き取りを行います。
抄紙機は大きく4つのパートに分けられます。
抄紙機において、紙を送り出し、引っ張る無数のローラを駆動するモータ&ドライブシステムとして、TMEICの産業用モータ『TM21-FⅡシリーズ』と、ドライブ装置『TMdrive-10e3シリーズ』が活躍しています。
ドロドロの紙の原料が乾燥した紙に仕上がる工程で、高温多湿の環境でも正常に駆動する耐久性が求められます。原料の状態が刻々と変化する状況下で、高速で送り出される紙の張力を一定に保つために、制御システムから送られる指示に従い、ドライブ装置が各パートにおけるモータの回転速度やトルクを絶妙なバランスで調節しています。
また、TMEICのモータは高い効率を有し、省エネルギーで工場のCO2排出量削減に貢献します。
ワイヤと呼ばれる長いベルトの上にドロドロの原料を薄く流し込みます。
巨大なロールで原料を挟んでプレスすることで、水分を搾り取ります。この工程で約8割あった水分が5割くらいまで削減されます。
ボイラで熱を作り、原料を乾かします。工場によっては、パルパで除去した不純物などを燃料にする場合もあります。
出来上がった紙を巨大なロールで巻き上げます。
出荷に適したサイズに切り分けて、巻き直します。
出荷のための倉庫。クラフト紙は、さらに紙袋や、ストローなどへの加工工場へ出荷され、二次加工された上で世の中に送り出されます。
ドロドロのおかゆ状の液体原料が、薄い紙として出来上がるまでの、ライン全体の連携を監視し、コントロールします。設備各所に設置されたセンサーから送られてくる原料の状態をリアルタイムに数値化し、原料を送り出すスピードや、プレスの圧力、乾燥させる時間など巨大な抄紙機を緻密に制御する必要があります。
抄紙機では、最終的には厚さ0.1mm前後の薄い紙に仕上げるため、原料を破らないよう、一定の速度と張力で制御する技術が求められるため、監視制御装置で紙の状態を見ながらPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を通じてドライブ装置に指示を送り、モータを制御しています。