電源トラブルからデータや設備を
守る切り札!UPSとMPC

電力の安定確保は
最優先課題

近年、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)というワードをよく耳にします。
BCPとは、企業や行政機関などが地震、津波、火山噴火、台風などの自然災害や、火災、テロ攻撃、ハッキングなど不測の緊急事態に遭遇した場合でも、その影響による被害を最小限に抑え、中核となる事業やサービスを継続するための備えであり、特に、ライフライン、プラント・工場、データセンター、病院、行政機関など、極めて公共性の高いサービスを提供する事業者にとって必須のリスクマネジメントとなります。

電気が使えるようになるまで

このBCPでは、さまざまなアクシデントやインシデントへの対応策が求められていますが、中でも最も重要な課題のひとつとして、
電力の安定した確保と供給が挙げられます。停電が起きた際、スマホが使えない、水道が出ない、交通機関が使えない、病院で治療ができない、
大事なデータにアクセスできない…、などといったことが長時間続くと、私たちの日常生活や社会活動全体に大きなダメージを与えてしまうからです。

そのため、発電や送電を行う電力事業者は、高品質で安定した電力供給の対策を行っており、
電力供給を担う事業者にも不測の事態に備えた対策が求められています。

インフラ側で電力をストックするのは
難しい!?

家電、自動車、衣類、食品などは、メーカーが製造・出荷した製品を一度、倉庫などに保管し、
需要に応じて店舗に出荷され、消費者の元に届きます。この一連の流れをサプライチェーンといい、
メーカーは消費者の需要を予測して製品を製造するものの、仮に需給バランスが崩れた場合でも在庫調整で対応することができます。

しかし、電力のサプライチェーンでは店舗に並ぶ商品のように簡単に需給バランスを保つことはできません。
電力供給網の電圧は一定周期で変化し続ける交流のため、電気を貯めておくことができません。蓄電するためには、電気を直流に変換する必要があります。これをインフラ側である送電システムで実現しようとすると、各地に大規模な蓄電設備が必要となり、膨大なコストがかかります。
そのため、発電や送電を担う電力事業者は、毎日の天候やイベントなどの開催需要、例年の電力使用量などさまざまな統計データから、
時系列での電力消費量を予測し、発電量をリアルタイムに調整するなど電力の安定供給、つまり電力サプライチェーンの最適化に務めています。

送電システムの大きなリスクである
「停電」と「瞬低」

このように、電力事業者が最適化された電力供給を行っていても、地震や落雷、強風、大雨などの自然災害や発電所、変電所、送電網の事故や
故障などにより、電力需給のバランスが損なわれることがあります。トラブル時には、その影響を最小限に抑え、送電システム全体を守るため、
トラブルが起きた送電ルートを遮断します。これが停電です。

また、事故点を切り離すまでの間、送電システムの広い範囲で瞬間的に電圧低下が発生します。これが「瞬低(瞬時電圧低下)です。
瞬低は文字通り一瞬の電圧低下なので、気づきにくいトラブルですが、年間約5回程度の頻度で発生し、
一瞬の低下であっても事業継続の大きな障害となるばかりか、施設の電気設備に大きなダメージを与えてしまうことがあります。

電気が使えるようになるまで

停電、瞬低対策が求められる
事業者や設備

万一、停電や瞬低などの電源トラブルが発生しても、その影響を最小限に抑え、社会活動を止めないため、
次のようなシステムや施設で万全を期した対策が求められています。

電力網