力学的に電気を蓄える
重力蓄電システム

太陽光発電などの天気によって発電量の変化する再生可能エネルギーが導入され、
安定した電力供給のために蓄電システムの導入が進んでいます。
その中で長期の電力貯蔵技術として重力蓄電が注目されています。

重力蓄電は揚水式水力発電と同様に電気エネルギーを位置エネルギーに変換し蓄える蓄電技術です。
TMEICは回転機やその制御技術、電力変換技術を有しており、
より高効率な重力蓄電システムの構築を目指し、実証試験に向け検討を進めています。

システム概要を動画でご紹介します 重力蓄電システム 重力蓄電システム
- 地形を活かした国産技術による蓄エネルギーシステム -

注目される重力蓄電技術

再エネ電力の安定供給

太陽光や風力を利用した再生可能エネルギー(以下、再エネ)は自然現象を利用して発電するため、
天気に左右され発電量が不安定です。また、太陽光発電は日中に多く発電しますが、導入量増加により、
電力需要に対し供給過多になる日も多く、発電を抑制する出力制御が求められています。
このような出力が不安定な再エネの課題を解決するのが電気を蓄えることができる蓄電システムです。
余った電力を蓄電システムに貯蔵し、必要なときに放電することで、安定した電力供給が可能となります。

今後、再生可能エネルギーの導入はますます増えていくことが予想されており、
蓄電システムなどの電力安定化技術の発達・普及が欠かせません。

再生可能エネルギーの1日の発電量の流れ 再生可能エネルギーの1日の発電量の流れ 出典:資源エネルギー庁『日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」7.再エネ』

リチウムイオン二次電池の現状

現在の大型蓄電池の主流は、ノートパソコンやスマートフォンでも採用されている
リチウムイオン(Li-ion)二次電池です。
リチウムイオン二次電池は短時間で効率よく充放電を行うことが可能で、
電気自動車などの蓄電池としても用いられています。
一方で、材料の多くを輸入に頼っており、安定した供給が難しくなる場合があります。

またリチウムイオン二次電池は、自然放電や蓄電能力の経年劣化があり、長期の電力貯蔵には向きません。
そこで、電池性能の劣化が少なく長期間稼働が可能な蓄電方法が求められています。

注目される重力蓄電

長期のエネルギー保存が可能な蓄電技術として欧州などで実証が進んでいるのが重力蓄電です。
重力蓄電は位置エネルギーを利用した蓄電方法で、電気エネルギーを位置エネルギーに変換し、
それを再び電気エネルギーとして取り出します。

類似した技術に揚水式水力発電があります。
揚水式水力発電では発電所の上部と下部に大きな貯水池を設置します。
電力が余っているときにポンプを使い、下の池から上の池に水を汲み上げて貯め、
電力が不足しているときに上の池から下の池に水を流し、水車を回して発電します。

揚水式水力発電の例 揚水式水力発電の例

重力蓄電は大型の回転機や重量物搬送装置などの機器で構成されており、
設備のメンテナンスを行うことで長期に利用できます。
また、重量物の量を増やすことで蓄電容量の増加も可能です。
稼働時は再エネの余剰電力を活用する為、カーボンニュートラルやSDGsにも貢献できる技術です。

システム概要図 システム概要図