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phase2 Vol.04 世界の製鉄プラント×ティーマイク

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G Steel Public Company Limited CPO (Chief Production Officer) K.Warawut S. 氏 × 産業第二システム事業部 技監 博士(工学)技術士(電気・電子部門) 今成 宏幸

<MISSION>

タイの製鉄会社Gスチールは、首都バンコクの南東約180kmに位置するラヨーン県において、1995年に設立され、熱間圧延による鉄鋼コイルの生産を続けてきた。コイルの納品先は、主に建築資材を扱う加工会社。これまで約25年間にわたり、高品質な製品を安定供給してきた裏側には、TMEICの技術とソリューションが活きている。

求められたのは、ダイナミックかつ繊細

電気炉へスクラップ鉄の入った取鍋(とりべ)を運ぶ

Gスチール社の製鉄プラントは、3つの製造工程に分かれている。まず、「製鋼」。原材料となるスクラップ鉄を電気炉に入れ、アーク放電という雷に似た放電を炉内で発生させて放電熱で鉄を溶かし、成分を調整し鋼にする。次に、「鋳造」。溶けた鋼を「連続スラブ鋳造機」と呼ばれる鋳型へ流し込み、長さ20m・厚さ100mm程の大きな延べ棒のようなスラブを作る。そして、「熱間圧延」。スラブをトンネル炉で1200℃近くまで再加熱。「粗圧延」「仕上圧延」の順で熱間圧延し薄い鋼板にしたのち、冷却工程を経てコイル状に巻いた状態で出荷する。
製鉄工程の中で最も重要なのが、この「熱間圧延」。「圧延時には非常に大きな力でモータを回転させ、高速で鋼を薄く伸ばしていきます。鋼板の厚さの誤差は、±0.03㎜以内、平坦度(波うちの度合い)は±0.02%以内でなければなりません。鋼板の厚さ、温度、平坦度などをセンサーで検出しながら1/1000秒単位で機械を制御する必要があるのです」と、Gスチール社のチーフプロダクションオフィサーを務めるWarawut氏。正確な制御ができなければ、生産ロスが発生し、生産量が落ちてしまう。そこで、「圧延ロールを駆動するモータ、それを制御するドライブ装置(インバータ)、ライン全体をコントロールする制御システムの納入を、ワールドワイドで数多くの実績があるTMEICに依頼しました。TMEICの製品はとても耐久性が高く故障しにくいため、ほぼ修理が必要ありません。製鉄ラインを停止するリスクも少なく、TMEICを選んでよかったと実感しています」とWarawut氏は言う。

DATA
Gスチール〜ラヨーン製鉄プラント〜
タイの首都バンコクから車で南東に約3時間、タイ国内消費量約半分相当の天然ガスが採取されるタイランド湾に面したラヨーン県にある製鉄所。周囲には、他の圧延工場や部品メーカーなどが集まるほか、近くには天然ゴムの林も拡がっている。敷地は、およそ東京ドーム20個分。年間約180万tの鉄鋼コイル生産能力を有している。

G スチール社の製鉄プラントが位置するタイ・ラヨーンの気温は、 一年を通じて30℃を超える

巨人の指で折り鶴を折る

20tを超えるロールを駆動する粗圧延用モータは2階建ての住宅サイズ

「Gスチール社のような生産ラインでは、安定操業と高い品質が要求されます。しかも、その2つを継続することが重要です」とTMEICの今成は言う。Gスチール社の熱間圧延工程は、鉄を溶かす電炉から最後の巻き取りまで、3つの工程がある。設備が直線上に並んでいる上に、鋼を高温に保った状態で加工しなくてはならないため、どこか1箇所でも不具合があればラインを全て停止し、ライン上にあった材料が全て無駄になる可能性がある。そうなると、生産効率が低下するだけでなく、膨大な電気エネルギーが無駄になってしまう。さらに、高温の鋼がライン上の機器にダメージを与えると、復旧まで相当の時間がかかる。そうならないためにも、圧延中の鋼の状態と設備をリアルタイムに監視しながら、PLC(Programmable Logic Controller)と呼ばれるシステムを用いて高速で演算処理を行い、瞬時にモータの速度を変更したり、油圧を調節したりすることで、圧延ラインを絶妙に制御する必要がある。「2台の粗圧延機と6台の仕上圧延機とで最終的に1~2㎜まで薄く延ばします。ロール自体の重さはひとつ約20t。それを油圧で上下計4000tの力をかけて鋼を延ばします。上下のロールのすき間を1/1000㎜単位で調整しながら圧を加えつつ、鋼板を引っ張りながら均一に延ばしていくのです。ラインを流れる鋼板のスピードは粗圧延機に入る時は時速3㎞程度ですが、仕上圧延機から送り出される時には時速70km超になりますので、制御を1/1000秒単位でコントロールする必要があるのです。巨人の指で折り鶴をすごいスピードで折るような話ですね」と今成。モータやドライブ装置は20〜30年、計算機やPLCは10〜15年で更新が必要になる。「人に例えると、モータやドライブは足腰、圧延モデルや圧延制御を行うPLCは頭脳、頭脳からの命令を足腰に伝える高速ネットワークは神経、に当たります。安定操業と高品質を実現するために、この頭脳・神経・足腰が最高の状態でなければなりません。Gスチール社では計算機・PLCを約20年更新せずに使用できていますが、製造中止になって予備品の調達が難しい機器も出てきていますので、お客様に最適な更新を提案していきます」と今成は言う。

粗圧延された鋼は、緻密に制御された6台の仕上圧延機によって、さらに薄く、正確な板厚に整えられる

<TMEIC 無限の技・術・力>
熱間圧延システム
~Hot Strip Mill~

厚さ100mmのスラブを、厚さ1mmの板に薄く延ばす過程において、
圧延前に20mであったスラブの長さは、最後にコイルとして巻き取られる時には2kmにも及ぶ。
鋼板が圧延されていくそのダイナミックな景観とは裏腹に、
TMEICの熱間圧延システムは、その先端から尾端までの材質はもちろん、薄さを0.01mm単位で精緻に管理。
高温の素材が高速で流れる中、1/1000秒単位でリアルタイムに高速演算して
機械を制御することで、高い製品品質を実現しています。

厚さ100mmのスラブを、厚さ1mmの板に薄く延ばす過程において、
圧延前に20mであったスラブの長さは、
最後にコイルとして巻き取られる時には2kmにも及ぶ。
鋼板が圧延されていくそのダイナミックな景観とは裏腹に、
TMEICの熱間圧延システムは、
その先端から尾端までの材質はもちろん、
薄さを0.01mm単位で精緻に管理。
高温の素材が高速で流れる中、
1/1000秒単位でリアルタイムに高速演算して
機械を制御することで、高い製品品質を実現しています。

最新の鋼は冷まし方が命

緻密な温度モデルに基づいて鋼板を冷却する

モータ、ドライブ装置、PLC(制御システム)まで、取りまとめて圧延プラントをうまく動かすことができる電機サプライヤーは、世界でTMEIC以外に1社あるかどうか。納入実績は世界40カ国、1000ライン以上を誇る。だが、鉄鋼業界がいつまでも安泰というわけではない。10年ほど前から炭素繊維で強化したプラスチックが、鉄の独占分野であった自動車の部材などに使われ始めている。「まだ価格が高く高級車に限定されているようですが、鉄の強度10倍、重さは1/5という特徴があります。鉄は加工やリサイクルが容易であるという優位性がありますが、新素材は強敵です。もちろん鉄鋼メーカーも負けてはいません。対抗すべく強くて軽い、新しい鉄の開発を進めています」と今成。例えば、強度と加工しやすさを備えた、DP (Dual Phase) 鋼と呼ばれる自動車鋼板に適したもの。「鉄の強度はシリコンやマンガンなどの添加物と、仕上圧延の後の冷却工程で決まります。このDP鋼は、仕上圧延機を出た900℃ほどの鋼を水冷し700℃まで下げたあと、数秒間空冷、最後に一気に200℃まで水冷するという特殊な温度管理を行います。こうすることで、鋼の中に、しなやかな『フェライト』と、硬い『マルテンサイト』という異なる性質を持つ結晶をつくり出し、しなやかさと強さをあわせ持つ鋼となるのです。しかし、この温度管理が非常に難しい。まず、温度低下とともに、鋼の中の結晶構造が変わるときに鋼自体が発熱します。また、700℃から200℃へ急速冷却して、鋼の中に硬い結晶の『マルテンサイト』をつくる際、400℃前後で、非常に冷えにくい温度領域と、逆に一気に冷える領域が連なるため、同じ量の水を注いでも冷却効果が異なります。この物理現象を正確なモデルで表しつつ制御するのは非常に難易度が高いのです。それでも、鉄鋼メーカーにとって厳しい品質要求のある自動車メーカーへの納品実績はステータスになりますから、DP鋼を作りたいという相談がTMEICにも増えているため、大学の先生とも連携しながら精度向上を図っています。他にも、3段階で冷却し自動車鋼板に適したTRIP鋼なども出てきていますから、常に我々も新しいチャレンジが求められます。TMEICはメーカーですから、モータ、ドライブ装置、システムといった形ある物を扱います。でも、それを生み出し提供するのは「人」。一人ひとりの『技術』と『お客様を想う心』という無形のものが掛け合わさり、製品やエンジニアリングとして現れるのだと思います。私にとって、働くとは社会に貢献するということ。例えばGスチール社が我々の技術力で質の高い鋼板を生み出し、それを使って質の高い建造物が作られれば、それを利用する人々に貢献することができる。自分の『生』が、少しでも世の中の役に立つのなら、それは嬉しいことですね」と今成は言う。

新たな素材が常に求められる自動車業界に対しても、鉄鋼を知り尽くしたTMEICのノウハウが活かされている

<MOVIE>

取材協力:G Steel Public Company Limited

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