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  • Vol.10.5 「インド式」お買い物大作戦 ~インド工場起ち上げのために現地ベンダーを探せ~

Vol.10 「インド式」ダイエット大作戦 ~世界で戦えるモータをつくるために~ Play movie

インド工場で製造することになったモータ『TM21-Gシリーズ』は、材料もインド国内で調達することが決まり、調達部の弘茂がプロジェクトに参加することになった。これまでも一部の部品を海外で調達し、日本で組み立てるということはあったが、すべての部品を現地メーカーで探すというのはTMEICとしても初めての試みだった。
Vol.10「インド式」ダイエット大作戦 参照

key person(キーパーソン)

  • グローバル最適購買推進リーダー チーフスペシャリスト 弘茂 岳司
資材部

もはやインド人だね

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インドは、日本や韓国に比べて日系メーカーの進出が少ない。「自動車メーカーぐらいではないでしょうか。TMEICのようなインフラ系は非常に少ないと思います。だから、インドのベンダー(部品メーカー)に関する情報を得るのが難しかったです。部品名などのキーワードでインターネット検索をして、ヒットしたところにとりあえず電話をしてみたこともありました。すると、多くが『日本の会社が何の用で電話してきたのか』というような、けげんな反応でしたね」と振り返る。そこで、インドのベンダー事情に詳しい方を現地採用して情報を得ながら、100社ほどをリストアップ。そのうち半分ほどに訪問・交渉するため、インドに40回超、出張した。「鉄道が発達していないので、近くても飛行機で移動するのが普通です。1回の出張で、多いときには10回以上も国内線で移動しましたね。例えば、部品メーカーが集まっている北部の都市ボパールに行くため、夕方、成田から直行便に乗り深夜にデリーに到着。一度、空港近くのホテルにチェックインして、朝6時発の国内便に乗って1時間半でボパールに到着。午前中から視察・商談。翌日には次の都市に飛ぶという感じでした。それにしても、まさかこんなにインドに通うことになるとは思いませんでしたね。カレーを右手だけで食べるのも、独特の味も、辛さもまったく問題なくて、『もはやインド人だね』なんて言われていました」と笑う。

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ジャパニーズタイム?インディアンタイム?

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今回訪問したインド企業は日系企業との取引が初めてのところがほとんどだったが、『TOSHIBA』『MITSUBISHI』という社名は知っていて、TMEICとの取引をチャンスと捉えている印象だった。弘茂は、調達として「品質・価格・納期」という点を重視し、視察・交渉を進めた。「すべて日本流に進められるわけではありません。例えば、インドも欧米と同じように契約社会。『気づいて、やっておいてくれる』というようなことはありません。お願いしたいことはすべて、注文書に記しておく必要があります。グローバル企業と仕事をしてきて思うのは、几帳面さや正確性が暗黙の了解で通じるのは日本だけで、世界では特殊なんだということです」と言う。また、交渉も慎重に進める必要があった。「当然、私はTMEICを代表して交渉に臨んでいるわけですが、TMEICの利益だけを考えて一方的に話してしまうとビジネスが成り立ちません。日本にいる開発メンバーの顔を思い浮かべながら、インド側の要望を聞いて自分の裁量の範囲でお互いが納得できる結論を出すことを心がけました。そして、約束したことは日本に持ち帰って必ず調整をつけました」。

この、「約束を守る」ということは信頼関係を築くために欠かせないと言う。逆に弘茂がインド側に必ず守らせたのが「時間」だった。「インド人に『いつできる?』と聞くと、『2 minutes』で5分。『10minutes』で30分。『1hour』だと翌日だったりというように、時間の感覚が違いました。インド人同士であれば問題ないとしても、日本人としては困ってしまう。納期のこととなると笑って済ませられません。約束した期限を守らなかったときは、日本人が時間管理を重視することを伝えるため『できるって言ったじゃないか!!』と、時には机をたたいて抗議することも。その結果、縁が切れてしまう会社もありましたが、きちんと日本人が大切にするポイントを理解してくれる会社もありました。そんな会社の社長さんは最後には、『10minutes』と言われて、『ジャパニーズタイム?インディアンタイム?』と聞くと、ニヤリと笑って『OK、ジャパニーズタイム』と返してくれたりしました」と振り返る。

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グローバル最適購買

資材部 グローバル最適購買推進リーダー チーフスペシャリスト  弘茂 岳司

今回の1年以上におよぶ「インド調達」を成功させた弘茂は、「これまでも海外調達の経験はありましたが、インドという国はかなり難しい方ではないかと思います。じっくりとインド人と向き合い、信頼関係を築けたことは大きな自信になりました」と言う。すでに製造を開始している『TM21-Gシリーズ』のプロジェクトには、現地法人のインド人スタッフも加わっており、「調達にもインド人スタッフがいます。調達を担当する者同士だからこそ分かり合えることがあって面白いですね。一緒に交渉のテーブルにつき、お互いに絶妙なチームプレイで狙い通りの結果を引き出せた時は、『よしっ』と顔を見合わせたりすることもあります」。

現在、グローバル最適購買推進リーダーを務める弘茂は、インドだけでなく中国・欧米でも現地法人とともにサプライヤーとの交渉を進めている。「海外企業と交渉し結果を出すのは予想外の苦労もありますが、成し遂げて帰りの飛行機に乗り込むと、充実感に満たされます。観光では行かないような都市を訪れ、文化も習慣も違う様々な人々とコミュニケーションをするのは刺激的な時間です。部下には『狭い視野で凝り固まらずに、プレッシャーを楽しみながらチャレンジしてみよう』と言っています。TMEICとして、どうやってネットワークを拡げ、最適な購買を実現していくのか。日本人もローカルスタッフも一緒になって、みんなで目指していきたいと思います」。

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Interview movie(インタビュー動画)

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