モータの高効率技術

もし、モータに
高効率技術がなかったら...

人の生活や社会を支えている製造産業。
製造業を支える動力の源としてモータ製品は欠かせません。
近年、モータの消費電力を抑えるべく効率性をめぐった議論が
国内外で活発になっています。

世界の総消費電力のうち、モータが占める割合は40〜50%とも言われており、
地球温暖化防止の面からエネルギー消費量の抑制・削減が今まで以上に求められています。

2015年4月、現在国内向けに商品化されている IE3クラスの効率性を製品基準とする
トップランナー制度が「三相誘導モータ」にも指定され、適用が始まりました。

> トップランナー制度とは

従来の三相誘導モータ

モータは電気エネルギーを回転エネルギーに変換し、機械を動かす駆動源です。
工場設備など、様々な用途で使用される機械を動かす為の回転エネルギーを生み出し続けています。

一方、電気エネルギーを回転エネルギーに変換する過程で、
その一部は回転エネルギーにならずに熱に変換されて損失が生じてしまいます。
効率性の向上にはこの損失をいかに削減できるかが課題でした。

TMEICは、効率性を高めたモータをこれまでも開発してきましたが、
環境負荷低減社会への貢献を具現化させることを目的として、
次世代トップランナーモータ開発プロジェクトを発足しました。

TMEICのプレミアム効率

東芝と三菱電機。長年に渡り製造産業を支え続けてきた両親会社の歴史とノウハウの蓄積を生かした
モータの研究開発・解析技術は今も世界最高水準の製品を生み出し続けています。

高い省エネ特性を備えたTMEICの高効率化技術を適用し、
当社従来製品と比較してIE3規格で約34%、IE4規格で約40%の損失削減を実現

高効率かつ既設互換性の実現に試行錯誤の日々を繰り返しながら、
効率、重量ともトップレベルの開発に成功し、
「世界最高水準の高効率」「業界最軽量」「既設互換性」を実現しています。

  • 最新の高効率技術を駆使した設計による世界最高水準の高効率実現
  • 冷却性能を向上させた新型ファンの開発による業界最軽量実現
  • 様々なモータとの互換性に優れた据付寸法がトップランナーモータの導入を促進

この優れた技術力と取り組みが皆さまに広く認められ、
TMEICは75kW以上で国内トップシェアを誇ります。

ロータの二次銅損低減

ロータバーに流れる高調波電流によって発生する損失を研究し、
スロット形状の最適化によって高調波電流による
二次銅損の低減に成功しました。

フレームの冷却性能向上

三次元流体・熱解析により通風分布や熱放射性を研究し、
フレーム形状の最適化によって冷却性能を高めた
新フレームを開発しました。

漂遊負荷損低減

電磁界解析により高調波に起因して鉄心に発生する損失を研究し、
スロット数やスロット形状の最適化によって
漂遊負荷損(高調波鉄損)の低減に成功しました。

トップランナー
モータシリーズ

TMEICのトップランナーモータTM21-FⅡプレミアム効率シリーズは
現行製品における最高レベルでトップランナー基準をクリア。

効率性だけではなく、業界最軽量、既設置換えが可能といった
競合他社にはない性能を有しています。

トップランナーモータの開発で培った高効率技術は、
低圧8極以上・防爆・高圧分野のモータにも応用され、
業界初のIE3レベルに対応した特殊用途向けモータを開発・提供しています。

当社は、お客様の省エネのためにトップランナー制度範囲を超えて高効率製品を供給する
新たな需要創造へ取組み、世界最高水準の高効率化技術により社会の環境負荷低減に貢献していることが
最優秀と認められ、2018年度省エネ大賞の最高位である経済産業大臣賞を受賞しました。

永久磁石を用いた未来のモータで、
さらなる省エネを

TM21-FP IE4効率シリーズは省エネルギー性能と高トルクのふたつを併せもつ次世代モータです。
ロータに永久磁石を使用し、TMEICの従来品と比べてロータに発生する損失が無く、
標準誘導機(IM)と比較して約40パーセントの損失を低減できます。
ファンやポンプといった中大容量機器の動力などに用いられることで、
驚くほどのエネルギー効率と、類を見ない省エネ効果を発揮します。

TMEICは更なる省エネ化を追求した誘導モータを開発しました。
IE3モータで培った経験を活かし、銅損、鉄損、機械損、漂遊負荷損などの低減により、
永久磁石(レアアース)を使用しない誘導電動機でIE4効率を実現しました。
商用電源、インバータ駆動のどちらでも運転が可能です。
2022年に第30回地球環境大賞 奨励賞を受賞しました。

1992

次世代高効率の取り組み

効率技術の発展向上のみならず、プラントの安定操業、異常の早期検出のためにIoT技術や
人工知能(AI)の導入も積極的に支援し、予防保全も視野に入れたエンジニアリングに力を入れています。

今後も、社会の環境負荷低減に貢献して行くため、次世代機種のリラクタンスモータ(SynRM)に注力します。

SynRMの動作原理 SynRMの動作原理

モータの予防保全 モータの予防保全

効率性を発揮するトップランナー基準を満たすために磨かれた技術は今後、
様々な用途や規格のモータにも積極的に適用する予定です。

省エネ効率が普遍の技術として認知されるまで、TMEICは諦めることなく、
技術を磨き、研究開発を継続していき、各産業が抱える省エネ課題や
地球環境の未来にこれからも大きく貢献していきます。

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  • 額に汗する、スマート・テクノロジストたち Vol.01 トップランナーモータ ~世界最軽量の高効率モータをつくる~